幽霊を信じない幽霊は存在するだろうか。
「存在するだろうね、少なくとも幽霊を信じる人々の心の中には」。
これが機知の名に値するのかどうかはわからないが、少なくともこれを可能にさせるディスクールがある。つまり「心の中に存在する」という、おなじみの「三者一両損」だ。
このトリックは、一見子供騙しの滑稽のようではあるが、実は存在とは、まさに「一両損」の「損」に他ならない。
すなわち、わたしはわたしの存在するところには存在しない。
そういうわけで、幽霊を信じない幽霊が、うっかり存在してしまうことがある。
何が「うっかり」なのかと言えば、この幽霊が、自分の存在に気付いてしまうことがある、というところだ!