異性とは<わたし>のことである。
二種類の性別があるわけではない。まして、二種類の人間がいるわけではない。
人間は常に一種類である。
それは「わたしたち」だが、「<わたし>-たち」なわけではない。
つまり、じゃれあう男子高校生たちの群れ、あるいは化粧室の女子高校生たちだ。
「わたしたち」人間は、そのような他我的モデルのことであり、蝋人形のようなげっ歯類の一群である。
<わたし>でも「わたしたち」でもないものがいるが、それは誓いを立てる相手であり、その想定によって「わたしたち」が成り立つ星座だ。
常に性別は一つであり、<わたし>と「わたしたち」と<他者>の関係だけがある。