男たち、女たち


 <男たち>は存在しない
 だから<男たち>の女になろうとしても無駄なことだ。
 <男たち>が存在するのは、男たちにとってでしかない。
 女たちは男たちが考えるほど<男たち>を信じていないし、信じているとしてもそれは<男たち>を作り出した<あの男>であり、その男が既にいないことも知っている。
 <男たち>の女も、男たちだけのものだ。
 だから<男たち>の女になろうとしても無駄なことだ。
 <男たち>の女は、あまりにもあまりにも<女>で、それゆえ女にとっては存在しない。
 むしろ圧倒的に<男>ですらある。
 もちろん、普通、非常に男であるものは男ではないし、非常に女であるものは女ではない。
 たぶん、母すらいない、そのような場所が、<男たち>の彼岸にある。
 その場所にたどり着く一つのありふれた方法は、母になってしまう、ということでもあるのだが。